ユーゴ・セナールは裏社会では“ジタン”の通り名で呼ばれる一匹狼。差別と迫害に苦しむロマ民族の宿命を背負い、社会を憎悪し反逆の半生を歩んできた。刑務所で知り合ったならず者たちと脱獄し、次々と銀行強盗に手を染めるジタン。警察の追っ手を逃れ、所在を転々とする彼は、大物ギャングのヤンと不思議な因縁で結ばれていく。無法者同士に芽生えた絆。やがて二人は、捜査を指揮する警察のブロー警視に追い詰められるが…。
暗黒街出身の異色作家ジョゼ・ジョヴァンニが自身の書き下ろし原作を映画化。役者として脂の乗り切ったアラン・ドロンが、虐げられた男の屈折した心象と葛藤を力演し新境地を見せる。孤独を道連れにさすらうアウトロー。その非情の美学は時代を超え、観る者を鮮烈に打ちのめす。
○1975年フランス=イタリア映画(アデル・プロダクションズ製作)
○1976年日本公開作品(配給:東映洋画)
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